4月のふれあいブックカフェ

4月の「ふれあいブックカフェ」

今月のテーマは「谷川俊太郎のことばの世界」でした。

昨年亡くなられた谷川俊太郎が詩、絵本、エッセイ、対談など幅広く表現された言葉を紹介しあい、感想とともに意見交換をしました。出席者15名とたくさんの方が集まり、それぞれ自身の子供時代や子・孫育ての話、そして今の世界情勢への懸念など、谷川氏の幅広い活動に併せたバラエティに富んだ話題が出ました。人生経験豊富な方々の集まりならではの内容の濃い、楽しい時間が共有できました。

以下、紹介された作品や内容をざっくりですがご紹介します。

① 谷川さんの処女詩「二十億光年の孤独」が紹介されました。氏が19歳の時に書き著したものです。谷川俊太郎著 田原(テイエン ユアン)編 からだに従う ベストエッセイ集 集英社文庫 2024によれば、二十億光年とは宇宙の直径であり、その中に投げ出された時の感情を詩に著したそうです。「ネリリしキルルしハララして」という奇妙な表現は火星語で、ユーモアなのだそうだ。大げさな題名に比し、結びのことばは「僕は思わずくしゃみをした」と実に軽い。これが19歳の谷川流の表現かもしれない。

② 次に「生きる」谷川俊太郎詩 岡本よしろう絵 福音館書店2017が紹介されました。小学生のきょうだいと家族のある夏の一日から、私たちが生きる今を表現。足元のアリをじっと見つめること、気ままに絵を描くこと、夕暮れの町で母と買い物をすること……。子どもたちの何気ない日常に生きていることの全てがあることを、詩とともに絵が懐かしさがをよみがえらせてくれました。

③ 「詩を書くということ」谷川俊太郎 PHP研究所 2014

生い立ちから詩作の裏側までをありのままに語り、インタビューのほかに、②で紹介した「生きる」まで、11作品が収録されています。「詩を書きたいとも思っていなかったし、詩人になりたいとも思っていなかった」という谷川氏が、17歳の頃に友だちに誘われて詩のようなものを書いて以来60年以上、詩集にとどまらず、歌の作詞(校歌や合唱曲、アニメ「鉄腕アトム」などの主題歌)、絵本、翻訳、脚本、朗読でも活躍されています。

(参考https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-78405-2)

紹介の後、「鉄腕アトム」の歌を懐かしくみんなで合唱となりました。参加された別の人からは、好きな歌(歌詞)に「死んだ男の残したものは」だと発言があり、どなたかが即Web検索で探し出し、みんなで聴きました(すごい!連携プレイで更に雰囲気が盛り上がりました)。この歌の最後のオチは、‘墓石一つ残さなかった’で、ここにも谷川流がありました。

④「自己紹介」は、「私」谷川俊太郎 思潮社2007年 の中にある詩で詩歌文学賞に選ばれた詩です。その中に ‘私は過去の日付にあまり関心がなく 権威というものに反感を持っています’ という一節や、 ‘無言を好みます’ とあり、谷川という人となりをよく表しているよねと、全員が同意!

⑤「ぼく」谷川俊太郎作 合田里美絵 岩崎書店 2022年

90歳の谷川俊太郎が30代のイラストレーターである合田里美とコロナ下の2年間にわたり、何度も何度も話し合い、試作し作り上げたその過程が2021年度ETV特集「ぼくはしんだ じぶんでしんだ 谷川俊太郎と死の絵本」と題して放映されました。先ごろ再放送もされました。参加者の何人かは視聴したとの声があり、また絵本を読んだ人もおられました。

大変重いテーマであり、絵本の最後のページに編集部よりとして(読んだ子どもに向けて)「死なないでください」とのメッセージとともにこの本を通して考えてほしいことが書かれています。安易に読ませる、または読み聞かせするのではなく、読ませる大人のある覚悟のようなものが必要ではないかと思います。参加者の中から、小学校時代に先生から‘’絶対‘’という言葉を使うのは、死ぬことと戦争をすることだと聞いてそのことがずっと心に残っているとの話がありました。子ども時代に真剣に考えることは深く響くものであると考えさせられ、この絵本の用い方にも準ずるところがあるように思いました。感じること、俯瞰して物事をとらえられるような学校教育であったらよいなどの意見も聞かれました。    *この絵本は寄贈本として図書室に配架される予定です!

⑥「これはおひさま」谷河俊太郎ぶん 大橋歩え こどものとも年少版1982年2月号 福音館書店

最後に、参加者のみんなが子供や孫に読み聞かせた懐かしい絵本をお一人の方が読み聞かせくださいました。真っ赤なおひさまから始まって牧場で育った牛さん、そしてそのお肉やミルクを食べたあっちゃん・・・そして最後にまた真っ赤なおひさま。

これぞ谷川マジック!春の陽気に包まれているような幸福感に満たされて終了しました。

来月は、谷川俊太郎の詩の世界の第2弾として、田所恭介氏による「詩って何だろう」をワークショップ形式で楽しみます。日時等の詳細は、このHPやチラシなどでご確認ください。

玉ちゃん図書室

「本でひろがる温かい輪」 2019年に玉川学園地区社会福祉協議会が行った「わが街くらしのアンケート」より、地域住民の要望に応え、図書室という場を通しての子育て支援、居場所づくり、世代を超えた人の交流を主たる目的として発足した玉ちゃん図書室事業です。「きんじょの本棚」ともコラボしています。 開室日: 毎週水曜、土曜 10:00〜16:00

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