6月11日(水)定例のふれあいブックカフェを開催しました。昨日から関東地方も梅雨入りとなり、小雨がパラパラ・高湿度とあいにくの空模様でしたが、12名の方々が出席されました。
今月は、坪谷美穂子氏による朗読でした。以前にも石牟礼道子作「苦海浄土」を朗読くださいましたが、今回は、白洲正子作「能の物語」より『二人静』を約20分間、途中能の謡も含めた心打つ朗読でした。
まずは原作者の白洲正子についてですが、彼女は秀でた作家というよりは、芸術をこよなく愛し、様々なジャンルの芸術家と交流・支援をました。町田市鶴川にある「武相荘」は夫の次郎氏と共に活動や生活の拠点として暮らし、多くの著名人ともここで交流をしました。ちなみに武相荘は今や町田市の観光スポットになっています。
『二人静』は、原作が世阿弥の謡曲とされており、源義経の妾で伝統芸能白拍子であった静御前の霊が菜摘女にのりうつる話です。朗読は、菜摘に出かけた女たちの一人が亡霊に出会うところから始まります。実は亡霊は静御前だったということが、その亡霊の舞い、謡う様からわかるというお話。
坪谷さんの朗読は、字づらでは味わえない感情が参加者一人一人に静御前の思いが届いたように感じました。そして何より迫力ある謡いには圧倒されました。後で伺えば、坪谷さんは8年間も謡いをお稽古なさったそうで、朗読と謡いのコラボを実現されたとのこと。素晴らしいはず!
朗読の後、参加された方々からの活発な感想や質問などが飛び交いました。図書館から白洲正子の「能の物語」を借りて何十年ぶりに読み返したという方、朗読の練習をし始めたので勉強になりました、などなど・・・。
「しづやしづ しずのおだまき 繰り返し 昔を今になすよしもがな」
世阿弥の謡が聞こえてくるような素晴らしい時間が、梅雨のうっとおしさを吹き飛ばしてくれました。
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